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前を向いて歩きながら考える。と彼女は記した [日々のあれこれ]

ダブルが巡り会わせてくれた本の話です(^.^)

この数日間で、「山本美香という生き方」(山本美香 日本テレビ編 日本テレビ放送網 2012)
という本を読みました。
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2012年8月にシリアで取材中に銃撃され亡くなったジャーナリスト、山本美香さんの本です。

第三者が山本さんを語るだけではなく、この本には、彼女が体験した戦争が綴られていました。


特に衝撃的だったのがイラクのホテルで取材中、
ジャーナリストが米軍の戦車に撃たれた事件でした。

パレスチナホテルの15階で、山本さんとたちのすぐ隣の部屋のロイターのカメラマンが
バルコニーで撮影中、米軍の戦車に砲撃されました。

すぐ下の階のスペイン人ジャーナリストも命を落としました。

隣の部屋では山本さんたちも戦車の様子などを撮影していたのでした。

その時の映像を私は12月に青梅市立美術館で見ていたのですが、
詳しくは解説がついていなかったけど、それは衝撃的で
緊迫した映像でした。

この本では、その時のいきさつや状況の一部始終が詳細に綴られていて、
外国人ジャーナリストも標的にした米軍に対しての憤りなどが伝わってきました。

山本さんはこう言います
「戦争では、誰もが正気を失う。アメリカは、自分だけの正義を通すためにこの戦争を始め、
狂ったように攻撃して多くの市民を殺した。そしてジャーナリストを狙い撃ちにした。
彼らの死は、私に戦争の醜さと狂気を教えてくれた。」

「戦場という特殊な状況では、人が人でなくなるような残虐な行為が行われたり、
常識では考えられないような悲劇が起きる。
それが戦争だ。
誰かがそこに行って、目撃しなければならない。証拠を残していかなければならない。
記録して外の世界に出さなければならない。
孤立させ、密室にしてしまえば、蛮行は闇に葬り去られてしまうだろう。
だから私は、戦場に向かう。ジャーナリストは危険を承知で戦争取材をする。」


読む前から、軽い気持ちで読める本じゃないことは分かっていました。


読んでいて西原 理恵子さんの「いきのびる魔法-いじめられている君へ」や、

堤 未果さんの『ルポ 貧困大国アメリカ』(岩波新書)などを思い出していました。

まだあどけない顔の若い兵士が戦争で戦っているという現実。

偶然にもみな女性の本ですね。

起こっている事実を知って欲しい、伝えたい。そんな彼女達の思いが伝わってきます。




山本美香さんの本を読む前に、ダブルが巡り会わせてくれた1冊の本を読んでいました。

「板極道」(ばんごくどう)(棟方志功 著 中公文庫 1976年)
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版画家の棟方志功さんの自伝です。

昨年の12月末に青梅市立美術館に山本美香さんの平和写真展を見に行きました。
二階では、版画展が行われていて、その中に棟方志功さんの版画もありました。

一組の夫婦がいて、「棟方志功の版画があるよ~!」と話していました。
棟方志功さんって聞いた事はあるけどよくは知らなくて、どんな人なんだろうって思っていました。

この本は、鍛冶屋の息子の棟方志功氏が、東北から版画家を目指して上京したこと、

民藝運動で知られた柳宗悦さん(柳宗理さんのお父さん)や、陶芸家の河井寛次郎さんらと知り合ったこと、お世話になったこと、影響を受けたこと、

禅僧と知り合いになり、禅の心が込められている作品もたくさん彫ったこと、

志功という名前は、彦が東北訛りで発音してつけられたこと、

様々な賞を受賞し、海外の美術館にも作品が飾られたこと、

白と黒のみの版画で表現しようと決めた時のこと、

などなど、版画家棟方志功さんの素朴な人柄がにじみ出る自伝でした。

私が版画に興味を持ったのは、青梅市立美術館の二階でたまたま版画展が行われていたからです。

山本美香さんの写真展にダブルに乗って行った事、そして図書館と本という存在が、また私の世界を広げてくれたんだなぁ。と、しみじみ思いました。


偶然にも、続けて読んだ本はダブルが連れ出してくれたあの日がきっかけだったんです。

ページをめくると、書いた人たちが優しく語りかけてきてくれます。

本とは素晴らしいメディアだなぁと改めて実感しました。


1日も早く人々が戦いを止め、世界中の人が笑顔になれますように。



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コメント 4

すらいむらいだー

父は15歳の時から21歳まで少年飛行兵で戦争してましが、
「俺達は、組織として人殺しをやっていた。そのためには、ちゃんと訓練をしないといけない。訓練が不十分だと、暴走したり、びびったりしてヒドイ事になる」なんて言ってました。
お父さん、その通りですが、怖いです。
「こんなに長生きするとは思わなかったなぁ。。25歳まで生きるとは思わなかった」
なんでか?と尋ねれば
「だっておめぇ、周りみても30歳まで生きてる奴なんか一人もいねぇ」
つい70年前の日本もこんな無茶な戦争してたのです。
父の同期入隊は、終戦までの5年で半数が戦死。
高校の同窓会を大学でしたら、半分死んでた、て時代です。

よく、人の運の量は決まってる、なんていいますが、私なぞ、平和で豊かな国と時代に生まれてこれた事で、運の8割や9割使ってもいい、なんて思ってます。
by すらいむらいだー (2014-05-02 14:45) 

ピら手

すらいむらいだーさん
お父さん大変な経験をされてきたのですね。
70年ほど前のこの国の出来事とは恐ろしいですね。
二度と繰り返さぬように祈るばかりです。
by ピら手 (2014-05-02 18:16) 

しぃ

こんにちは。

思わず涙が出てきてしまいました。
戦争って汚い。
これだけ戦争によって命を奪われている人達がいるのに
どこかの国のWarPresidentは戦争で儲けたお金を握り締め
笑っている。戦場に出向いている方々はもはや何のために
戦っているのか解らないのではないのでしょうか。

ピら手さんは読書家ですよね!
私も本を読む習慣があったのですがバイクに乗り始めてから
雑誌すら買わなくなってしまいました。
また本を読み始めようと思います。
きっかけをありがとうございます(o゚∀゚)ノ
by しぃ (2014-05-03 10:32) 

ピら手

しぃさん♪
本当にそうですね。
戦争は一人一人の命や人生をめちゃくちゃにしてしまう。
人と人が殺し合いをする。無関係な人まで巻き込みながら。
戦争というものがビジネスになってしまっている。
生活の為に兵士にならざるを得ない子供や若者がいる。
どう考えてもおかしい事ばかりです。
生まれてくる子供たちが戦争に行くことが無いような世の中にしていかなければなりませんね。

読書はいつも私に色々な事を考えるきっかけをくれたり、視野を広げてくれるんですよ♪
自由に本が読める事に感謝していますo(^-^)o
by ピら手 (2014-05-03 22:33) 

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