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堀辰雄「風立ちぬ」初版本に衝撃・・。 [つぶやき]

宮崎駿監督の最後の長編アニメとなった「風立ちぬ」が昨年話題になりましたね(*^_^*)
(まだ映画は見ていないのですが、アニメ絵本を児童書コーナーで立ち読みした私・・・)


宮崎駿さんの「風立ちぬ」の広告には

「(零戦設計者の)堀越二郎氏と、堀辰雄氏に敬意を込めて。」

と書かれていて、堀辰雄氏の小説、「風立ちぬ」が関係しているようでした。

堀辰雄の「風立ちぬ」ってどんな本なんだろう?
宮崎駿の「風立ちぬ」とどう違うの?

って、とっても気になっていました。

ふと見ると、図書館の「新選 名著復刻全集」(ほるぷ出版・1970年)
の中に堀辰雄「風立ちぬ」が。

気軽に手にとりましたが、それはそれは衝撃的な本でした。

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この本は、堀辰雄氏の実生活を元に書かれたせつなく、静かで美しい物語です。

婚約者の節子が結核のため信州のサナトリウム(療養所)に入所し、
「私」も共に7月〜12月を付き添って過ごします。

病が悪化し、節子は12月に亡くなります。

3年の後、心の中にいる節子と共に雪深い谷を見下ろす谷に「私」は戻ってきます。

「序曲」「春」「風立ちぬ」「冬」「死のかげの谷」の5章からなり、
最後の章は
「自分と共に生を試みんとしてその半ばに倒れた所の愛する死者に手向ける一篇のレクヰエム」
なのだそうです。

余白が多くとられ、歴史的仮名遣いで書かれた物語には、
毎日単純なことの繰り返しで淡々と過ぎていく中で、
切なくも、お互いを愛し合い、幸福に満ちた時間や心の内が書かれていました。

そして、愛する人の死を乗り越えた先にある世界を描いています。

あまりにも真に迫って切なく、一つ一つの言葉が心に沁みてくるのは、
堀辰雄氏が実際に向き合ってきた事だったからだったのです。


名著復刻全集の解説によると、この堀辰雄氏の「風立ちぬ」は、
昭和13年(1938年)4月に500部限定で野田書房から出版されました。

堀辰雄氏34歳の時です。
(ちなみに、零戦とは全く関係のない物語です。)

初版本の復刻本はとても雰囲気があって素敵です。
TS3R0933.jpgTS3R0934.jpgTS3R0938.jpgTS3R0939.jpg

そして、この昭和初期の雰囲気を感じながらはっとしました。

この、復刻版「風立ちぬ」が堀辰雄氏が書いた(作りたかった)風立ちぬなんじゃないか?

・・・実際に、今出版されている本と見比べてみると、
この当時の空気感や余白や、昔っぽさがありません。

特に文学全集は、すべての物語が同じように並んでいるだけで、
全く味も素気もない・・・。

やっぱり本とは、内容だけを残せば良いのではないのだなと思いました。

当時の雰囲気をそのまま忠実に一冊の本として、後世に残して行きたい。
そういう丁寧な仕事をしてくれた出版社さん。

敬意をこめて映画を製作した宮崎駿さん。

保存してくれていた図書館。

私とこの本を巡り合わせてくれてありがとう。



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コメント 6

ミチル

そうなんだー。本当に本になってるとは知らなかった!
私は長女と2人で見に行きました。久々にスーパー戦隊とプリキュア以外の映画でした(^^;;
それほど切なさは感じなかったけど、子供も見ると仮定したなら、あの作りになってしまうのかな?でも目のつけどころが、宮崎駿さんらしいね。
by ミチル (2014-01-29 19:50) 

ピら手

ミチルさん♪
堀辰雄の風立ちぬは、零戦とは全く関係ないお話でしたよ(*^_^*)
でも、切なく甘く痺れるような恋の気持ちを思い出しました。
 
超久しぶりに・・・(笑)


by ピら手 (2014-01-29 20:45) 

ミチル

そうなんだ〜。零戦は出てこないのね。
切ない恋かぁ・・・。
読んだら思い出すかなぁ(^^;;
by ミチル (2014-01-30 06:37) 

ピら手

ミチルさん♪
別れ際に、めちゃくちゃ切なくなった記憶とか・・昔すぎて鍵がかかった記憶の引き出しが開くよ♪(*^_^*)
by ピら手 (2014-01-30 17:49) 

Tokio Fukazawa

素敵な記事と復刻版の紹介、大変参考になりました。
ありがとうございます。
by Tokio Fukazawa (2015-10-11 15:08) 

ピら手

Tokio Fukazawa さん
どういたしまして。
こちらこそ、しばらくぶりに堀辰雄さんの世界を思い出す事ができました。
静かな世界ですね。
by ピら手 (2015-10-11 17:18) 

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